作家について

作家の言葉

「 和紙で樹の表面を覆って、その上を手製の木炭でこすると、表面のパターンが写しとられる。

その和紙で身のまわりにあるものを包む。古いもの、若いもの、様々な場所から写しとられた樹拓で包む。するとある 「均一に見える世界」 が生まれる。写し取られた無数の樹皮の表面は、時間と共に記憶が薄れ、さらに均一な世界となってゆく。

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「不条理な現実にどう向き合うのか考えてきた。この薄っぺらな世界の表面で、この表面にへばりついているわたしたちは、より深い、なにものかの一部であるはずではなかったか。」

「時間層と空間層の中の薄っぺらなわたしの表面を意識する。同時に、透明な、しかし存在感のある、わたしの周りの厚み、あるいは、数えきれない波となってわたちをつないでいる、その驚くべき速度を想像してみる。そうしているうち、わたしの表面が、ほかの表面とつながって、私はつながりのなかの一部のようになる。それは体の内部にも浸透して、わたしは一つのつながりを感じることできる。」

「均一な世界では、ものごとに順位がない。均一な世界では争いが無い。 私を含んだ全ての表面も同じようにつながって、時間層と空間層の中に取り込まれてゆく。 このようにして、私はかつてあった世界にほんの一瞬、触れることができるような気がしている。 」

 
写真:Julia Blaukopf

写真:Julia Blaukopf

 
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宮森敬子のエッセイ「ゆらぎの中で」全12回 http://blog.livedoor.jp/tokinowasuremono/archives/cat_50038337.html

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