ロビング (樹拓)
1999 - 現在
樹木の表面の拓を集め始めて20年以上が経つ
かつて、行き詰まった時に行く場所があった
暖かな、美しい光が、樹々に降りそそいでいた
その時の感じをとどめておくため、和紙にそっと樹の表面の模様を写しておいた
時がたって、私はいろいろなところを旅した
日本の樹、アメリカの樹、
アフリカの、ルーマニアの、イラクの、それぞれの場所
それらの全く異なる場所から集められた樹拓は
私のスタジオでは、同じように見える
和紙と木炭で、樹木の表面を写してゆくという行為は、自らの安息のために始めたものである。それは後に、ある統一された世界を写してゆくという、宮森の生涯の仕事となった。
和紙は樹皮の繊維を原料とし、木炭は宮森が伐採した木の枝や樹皮を焼くことで作られる。それらを使って、生木の樹皮のロビング(樹拓)が作成される。樹拓が生まれる瞬間、樹の生の3つの段階(紙、木炭、生木)は一点に集まり、その瞬間がロビングに捉えられる
宮森が樹拓するために選択する場所はさまざまである。歴史的な場所出会ったり、日常生活に関わる場所であったり、一度だけ通り過ぎ、二度と行かないところもある。それぞれの場所は大きく異なるが、同時に樹拓の見え方は区別がつかない。それは私たちの存在についてのより深い真実を明らかにしている。これは、宮森が経験した各瞬間に敬意を表しながらも、それらをヒエラルキーをつくらず、手放してゆく方法である。私たちの存在も、樹の視点から同じように見えるかもしれない。
和紙で樹をくるんで、
手製の木炭でこすり(ロビング)
木肌のパターンを写す。
古いもの、
新しいもの、
様々な場所。
時空間を超えて「ぱちっ」と会う、
樹から生まれた
和紙と木炭と
覆われる様々な表面。
場所の記憶は
時間とともに薄れ、
均一化されていく。
森で、
都会で、
裕福な家庭の前で、
スラム街で、
殺戮の行われている国で、
何処そこの国で。
違いを作っているものの意味を、
この均一に見える世界で、
一つの繋がりの中で
考えている。
宮森の樹拓採取が進むにつれ、ロビングで何を表すことができるか、についての宮森の初期の考察は、彼女の作品に向かい合う人々の間にも伝わっていった。彼女は都市化が進み、伐採される予定の樹拓を採取することに多くの時間を費やした。また、和紙に採集した樹拓で人工物を包み、人間と自然のつながりを、お互いに反射する二つのさまざまな国で採集された樹拓で包まれたオブジェクトは、多くの場合、さまざまな国で採集された樹拓で包まれたオブジェクトは、多くの場合、さまざまな人のつながり自体を意識させる。 宮森の樹拓採取は現在も続いており、この行為によって、伝える概念も変化してきている。統一され、相互につながる世界観を表すために費やされた、人生の小さな断片からのコレクションの一部を以下に示す。
最近の日々の樹拓コレクションは宮森のインスタグラムにアーカイバルされている。